「刻時森」で空を見上げた

刻時森(くくじむい)という、なんともココロひかれる名前の森がある、というのを教えていただきました。

だって。ときを、きざむ、もり、ですよ。

調べてみると──、
1740年ごろ、古波津里恒という方が、王から命じられて日影と漏刻(水時計)との関係を観測した場所、とのこと。

文字通り「時」と「刻」の場所のようです。

首里駅から北へ、2kmほど歩いたあたり。
西原町の山側、とでも言うんでしょうか。
刻時森は、西原町の史跡として、町のウェブサイトにも載っていました。

◆西原町公式サイト – 刻時森
http://www.town.nishihara.okinawa.jp/asset/07kukuzimui.html

地図を見たところ、アドベンチストメディカルクリニックの近くのよう。
ちょうど人間ドックで行くコトになっていたので、ついでに見てくることにしました。

フリーランスをしていると、ついつい不規則な生活になります。
定時も退勤もないですから。
そんなわけで、身体のメンテナンスは超・大事、です。

山間の道を進むとこの看板があります。

11時頃に一通りの検査を終え、食事をいただいて。
バリウム飲んだ直後に、わりとガッツリした食事が出るのはすごいなぁとかおもいつつ。

肉と魚を使っていないとのこと。おいしーのです。

で、外へ。
この日は8月30日、残暑厳しい折──っていうか沖縄はまだまだ盛夏です。
12〜15時あたりは日差しが強いので、外を歩くと焼けまくりです。
あと汗。水を持って歩かないと倒れます。

地図で調べてあった「刻時森」の場所へ行こうと……思うのですが、森があるはずの病院の裏手に出られないのです。

沖縄で歩いているとよくあるんですが、目の前に目的地があるのに、そこに到達する道が分からない、っていう。
梅田のスカイビルも似た感じですが。あ、アレは今はヨドバシから橋が架かったので行きやすくなったのか……。

もとい。

勝手に人の家に入っちゃうといけないので、病院に戻って聞いてみました。

──結果。

病院の駐車場から見える、小さな丘が「刻時森」でした。

この丘が「刻時森」

──で、どこから入るんでしょう、これ。
病院の敷地に隣接してる、というか病院の敷地の中……?
「赤と白のタンクを目指して歩くと分かるよ」と言われたので(RPGぽくて楽しい)、写真の左端に映ってるタンクへと近づきます。

坂の下から病院へと登ってくる道を越えて、反対側の駐車場へ。
その脇に階段がありました。

かなり登る気配。

この日、朝まで雨が降っていたからか、足下はマイマイだらけです。
アフリカマイマイという、苦手な人はきっと悲鳴を上げるであろう、大きめのカタツムリさんがそこかしこに。

触れると感染症等があるとのことで、避けながら歩きます。すぐそこが病院だから、万が一の時も安心かなとかおもったり(だめです)。

ぽーっと歩いてると、マイマイを踏んづけてしまってすっころぶ、ってのをやりかねない(何回か経験済み)なので、下を見ながら階段を上ります。
いや、足下を見ながら階段登るのは当たり前なんだけど。

最後の階段。登ったらボス居そう。

わりと急な上、滑ります。草もかなり元気なので、運動靴と長ズボンで行くのが吉です。
最後の階段を上る途中、なんかしっぽの長い生き物(リスかイタチ?)が横切りました。フラグか。

階段を上ったところで行き止まりに。
正確には、階段を登り切るとタンクの目の前に出ます。で、そのタンクの周りをぐるっと金網が囲っているので、それ以上進めないのです。

左側は、崖ぎりぎりまで木が生えていて進めるようには見なかったんですが、右側を見ると、

右側は崖なので注意……!

進めなくもなさそう。

草と木の枝が伸びてきているので、気をつけて進みます。
うっかりするとマイマイがいるのでそれにも気を配りつつ。

10メートルほど進んだところに、橋がありました。

完全にRPGになってきた。

生い茂る木々の間に、手すりが見える……ので、おそらく正解なのでしょう。
タンクのメンテナンス用とかで無いことを祈りつつ。

なお、引き続き、右側は崖です。

外から見たときとは違う、結構なのぼりです。

足下にはブロックの道。
かなりの坂、ブロックを踏み外すと、濡れた松の葉で滑ります。

木々の合間からこぼれる日差しが綺麗。
期待感も高まります。

へっぴり腰になりながら、手すりを頼りに登っていくと、

先日の台風の影響でしょうか。

道が無くなりました。

というか、道は奥の方に続いているのが見えるんです。
ちょうど道をふさぐ形で、大きめの木が倒れています。

台風が来た直後、かつけっこう大きな台風だったこと。
地形的に周りに遮るものがない丘の、さらに出っ張った場所なので、かなり風が吹いたと思われるので、その影響なのでしょう。

どこまでもRPGです。
ゲームならこれはストッパーなので、何らかフラグを立てるなりアイテム取ってくるなりしないと進めないわけですが、ここはリアルワールドです。

……「入るなってコトかな」とも思いつつ、ここまで来たんなら見に行く!と、
少し戻って助走をつけて飛び越えました。

ここが「刻時森」

急に木々の数が減り、空が見えるようになりました。
地面も陽光に照らされています。

道もそこでおわり、小さな広場になっていました。
ここが「刻時森」。
一日中太陽が測定できそうですし、時間を計るにはよさそうです。

あたりで一番高さがある場所だからか、風も良く通ります。
特になにかが置かれている場所ではないのだけれど、昔ここで人が時間を見ていた、と思うと感慨深いです。

何よりとても静かで、
木々の間を抜ける風と、木漏れ日に癒やされます。

 

刻時森全景

木々が茂っているので周囲が見渡せなかったのですが、かつてはここから首里城や浦添方面、はては南風原まで見わたせたのでしょう。

木のうろに腰掛けて空を眺めつつ、休憩してから下山しました。
時間にして15分ほどなんですが、山の中を冒険した気分。

整備された観光地ではないので、訪れる際には「山に行く」つもりの靴とズボン、長袖を着用するのをオススメします。

あと、雨の直後を避けましょう。
アフリカマイマイが大量ポップしてるので、単純に危ないです。

行くなら首里駅から歩けないこともないですが、バスが便利です。
首里駅前から46番のバスで230円、「幸地ハイツ入口」で降ります。

バスを降りたら進行方向に5分ほど歩くとローソンと「アドベンチストメディカルクリニック」の看板が見えるので、その横にある坂道を登ります。

結構な急坂を登ると、赤と白の巨大なタンクが見えてくるので、そこを目指して歩けば「刻時森」です。

何もないけれど、
かつて誰かがいたところ。
300年前も同じ空だったのかな、なんて思いながら、
見上げてみるのも楽しいかもしれません。