ゲーム開発

地図の無い道を、歩く速さで

「教える」ってほんっと複雑だな、と思います。

自分が体験して、分かっていることは自信を持って話せるけれど、少しでも迷っていることについてはとてもじゃないけど「教える」なんてできない、って思っちゃうからです。

イメージとしては「僕はこんなふうに考えてやってるんだけど、どう思う?」くらい。

……っていう話を、会社員時代の大先輩にしたら、「俺もそうだよ」と返されてびっくりしたんですよね。なにせ、ユーザーサポートのボスとして、山積していた課題に真っ正面から立ち向かうような人なので。
社内でも存在感が大きくて、まずは○○さんに話を通しておこう、なんて言われるような人でした。

大きなトラブルがあって、僕ら現場スタッフは「とにかく早く終わらせないと!」って焦って、オフィスが無言でぴりぴりしていたとき。
ボスは、にこやかな顔で「ちょっと手を止めて、集まってくれ」って言ったんですよ。その瞬間の、フロアを駆け抜けた空気ったらないです。
そのあと、現状を聞いて、必要なモノをすぐに揃えてくれて。毎日の残業は無くなり、事態は収束に向かいました。


未だに覚えてますし、よくあのタイミングで言えるなあ、さすがだなあ、って思ってましたもん。

そしたら「いや、あれはもう俺が言うしかなかったんだけど、いつ言いだしていいか怖かったんだよ」と。

「でも、自分のフィールドで話す分にはなんとかなるからさ、椅子に座って、雑談するつもりで声を出した」んだそうです。

自分のフィールドで。

そう、40年現場に立って、僕から見たら自信に満ちあふれたボスでも、「自分のフィールドで動く」ようにしていたんだなと知って。

「先生だ、って肩に力入れて、教卓の前で頑張って話すな。椅子に座って、円座になって、いつもの雑談みたいに話をすればいい」

帰り際、ボスはそう言って。

ああ、教えるってこういうことだよなあ、って思ったのです。

だから。
最近は、なるべく自分の経験を、分析してから話すようにしています。
それなら、手元のメモやスライドを見なくても話せますから。
質問があっても、考えて答えることができますから。